V.出血病変に対するAPCの適応とその手技...その2

筆者らは噴出性出血に対するAPCの止血効果を調べるため、臨床応用に先駆けて動物実験を行った。
全身麻酔下のブタを開腹して胃の漿膜側を走行する径1mmの静脈と動脈を切開して、人工的に静脈性と動脈性出血を作成し、APC凝固単独による止血を行った。その結果、静脈性出血では出血の勢いは弱まったがoozing出血が持続し、完全に止血に至るまでには時間を要した。
次に径1mmの動脈からの出血に対するAPC凝固では、凝固層が形成され一次的に止血されたように見えたが再出血をきたし、完全止血は得られなかった。
静脈からの噴出性出血では、APC単独では、ヒータープローブ法や局注療法と比較して止血までに時間を要した。動脈からの噴出性出血ではAPC照射部位に凝血塊を生じるが、完全止血は得られなかった。噴出性出血にはクリップ法やヒータープローブ法、局注療法のほうが効果的である。